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■治療料金のお支払いについて 患者さまにお支払いいただく 「医療費」 は,細かく値段が決められています.公的医療保険の場合は歯科診療報酬点数表に従い,自由診療(全額自己負担)の場合は下表の標準的費用をお支払いいただきます.これは医療行為に要した医薬品・材料(ワイヤーやゴムなど)・装置代などからなるその日の 「医療費」 になります.医療従事者(歯科医,その他スタッフなど)の労務に対する対価も含まれます.診療所の医療機器や,医薬品材料の購入費,医療スタッフの人件費,施設を維持・管理していく費用は,この 「医療費」 から賄われています.医療(歯列矯正・歯科治療を含む)における診療契約は,法的にも学説上,社会通念上も 準委任契約 とされており(東京地裁昭和46年4月14日判決など),治癒を約束する 委任契約 や 請負契約 ではありません.われわれ医療従事者は受託した業務の遂行を目的として,その日々の診察に最善をつくす義務(善管注意義務: 民法644条)を遂行しており,その日の医療行為に要した医療費をその日にお支払いいただいています. 日本の歯科医療の歴史的慣習として,委任契約(受託した業務の完成を目的とする)の慣習はまだあり,歯列矯正や入歯など,医療行為より制作物としての視点の強い所では自由診療の医療費を事前に決定しているとも解釈されます. 歯列矯正にかかる医療費は,2つの考え方があることをご理解ください. @ 都度の支払い制(公的医療保険が適応される疾患を含む,一般的な医療費の支払方法)と A 総額での事前支払制(最初に全額を支払い,完成を約束する慣習的方法)
以下のように要約できます.
@ 都度の支払い制は,法的 にも 学説的にも 社会通念上も,医療行為の基本的な考え方で,受託した医療行為の遂行を目的(準委任契約)とするものです.検査・診断によって治療方針がきまるとおおよその医療費も事前に説明できます.公的医療保険が適応される疾患はこちらを参照ください. 【重要なこと】は,「医療」 とは本質的に不確実・不確定な部分があり,すべての医療行為には常にリスクを伴います.医療行為には100%の安全や治療ゴール達成はありません.医療者は医療安全に最善を尽くしていますが,歯列矯正においても予期せぬ重大な合併症や偶発事故(歯根吸収や歯の癒着など)は起こり得ます.医療の不確実性は,生命の複雑性や有限性,人体の多様性,医学の限界にも由来し,低減はできても,消滅はできません.医療行為とは無関係の病気や,加齢に伴う症状が医療行為の前後や治療中に発症することもあります.勿論,これらの治療には最善を尽くしますが,予後に影響を及ぼす後遺障害が残存し,時に死亡に至ることもあります. A 総額での事前支払制は,受託した医療行為の完成を目的(委任契約)とするもので,事前に医療費を全額を支払ったり,これを分割払いとすることもあります.疾病や病気の治療を,見た目や美容的改善と考え,完成を約束(債務)するものです.事前に完治することを約束しているわけですから,治療結果が完成に至らない場合,結果にご満足いかなかった場合,治療途中での転居による中断の場合などでは,治療費は返金されます.⇒ (参考:転医や治療中止の返金指針,日本矯正歯科学会)医療費はそれぞれの医療施設で独自の根拠(自由診療)で決められていますが,治療後の後戻りへの対応などの保障についても事前に確認しておくべきです. 歯列矯正に必要な医療費の支払方法(治療結果)は,その施設における 「医療とは何か」 という患者-医療従事者間の考え方が大きく影響することをご理解ください.歯列矯正は一部を除いて緊急性のある医療行為ではありません.主治医とよくご相談し,理解できるまで(自分で説明できるまで)説明を受け,文書による 『治療計画書』 や 『同意書』 をいただき,いくつかのクリニックで比較検討することが望ましいと思います.
公的な医療機関における医療費は下記をご参照ください.
■当院では,検査・処置,装置装着などの処置内容によって,その日の医療費をその日に収めて頂くことを原則とし,常に最善の医療を尽くします. |
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